現代のサムライたちの時空間へ

サムライ伝Vol.7 盆栽師 平尾 成志氏

第7回目を迎えたサムライ伝には、Vol.6の中村 孝則氏がサムライはこの人!と想起された、今、国内外へ日本の盆栽文化を新しく表現し広めている盆栽師の、平尾成志氏です。タイミングよく11月22日に収録の、内閣官房府とテレビ東京共同主催、オリンピック・パラピンピック推進イベント「BONSAI meet the world」に参加できたのは幸運でした。前衛的、情熱的なパフォーマンスを目の前で体験し、さらに月末、さいたま市の平尾氏の盆栽園である”成勝園”へ伺いました。

その22日のイベントでのパフォーマンスというのは、静かに時を重ねて造形美を創っていくいわゆる静的な”盆栽”ではありませんでした。いろんな世界のいろんな世代に向けて、まずは”盆栽”に興味をもってもらう入り口として、海外でのデモンストレーションの経験を活かしながら、少しづつ創意工夫を重ねてきたもので、より多くの人へ、盆栽の造形美やカッコよさなどを認知、理解、共感してもらうために、ライブ音楽とともに、短時間で動的な”盆栽”を魅せ聴衆の心をつかむ、圧倒的なインパクトと求心力のある1つのショーでした。

ひと言ではとても表現できませんが、とにかく驚愕し、とにかくカッコよかったのです。その日その時その場所で、そんな時空間を体験するとは、テーマが”盆栽”であるだけに、夢にも思いませんでした。大音量のDJと音楽の中、バックのスクリーンには、今までの海外での活動やあちこちでのイベントを密着取材してきたテレビ東京の数々の放送映像が流され、スポットライトの熱と、植物や土の匂い、観客の興奮のエネルギーや、同じく特等席であろうプレスエリアに並んでいた取材する他社のカメラマンたちの、最高の一瞬を逃すものかと息を呑む気配などとともに、平尾氏の必死の形相、止まることなく湧き出る滝のような汗、重い盆栽を軽々と持ち上げる汗で光る筋肉と、木々や土や苔を慣れた手つきで次々と盛り付ける動き、助手とのチームワークでみるみるうちに出来上がっていく1つの大きな盆栽のオブジェ! 固唾を呑んで氏を追いその姿をカメラに収めることに必死になっていた矢先に、最後の大きな五葉松をオブジェのてっぺんに乗せて、予定の約半分である25分時点で、「完成!!」と氏の声。と、両手をふりあげる達成感の滲み出る笑顔の平尾氏の姿がそこにありました。

カメラのファインダーのロックオンは常に平尾氏に絞り、動画を撮り続けていたので、完成した作品を見たのは、ショーが終わってしばらくしてからでした。見事でした。それぞれの命の歳月を持つ複数の盆栽たちが、一瞬で同じ時空間に揃ったのです。

このまったく新しい盆栽を作り出すための準備としてあらかじめ用意されていたのは、セメントとワイヤーと樹皮のような石皿のようなものを組み合わせてできた土台と、このときのために練られた土と苔、用意された小さな多種の盆栽たち、一番上に載せるための20キロはあるであろう懸崖の五葉松の盆栽、まるで人間の手術を行うときに用意されているような道具類とともに、パフォーマンスが始まると平尾氏自ら最初に高々と天に向けて掲げる輝く金色の鋏でした。

 

上の写真の桐箱のに収まっているのがその金色の鋏で、桐箱には、製作者である刀匠、川澄國治作の箱書きと落款。この鋏は、師三郎から、平尾氏が志とともに譲り受けた形見なるもので、常に持ち歩いているお守りのような存在。パフォーマンスの最初に天に掲げ、上から見守る師や父へ「力を貸して下さい」「見守っていて下さい」と念じ、そこからスイッチが入り、記憶も薄れ、手が勝手に仕事をすると言われます。

好きな人、憧れる人はの問いにも、「やはり加藤三郎です。どうがんばっても歴史ある老舗盆栽園の3代目に勝てるわけもないし追いつけもしないけれど、やっぱりあの方に認めてほしい。そして3年前に亡くなった父にも、です。その方々がつねに上から見ていると感じているので、その方々に恥じないような、自信もってやっていると言えるような、そんな盆栽師になりたいですね。大事な方々です。」

サムライのルーツ

 

ではここで、平尾氏のサイト”Bonsai master-Masashi Hirao ”よりプロフィールを抜粋します。

1981年、徳島県三好市池田町生まれ。京都産業大学在学中に訪れた東福寺は重森三玲作・方丈庭園に感銘を受け、日本文化の継承を志し、さいたま市盆栽町にある加藤蔓青園の門を叩き弟子入りする。師事していた、故加藤三郎との言葉「盆栽を国内外問わずいろんな人に伝えられる人間になってくれ」を胸に、修業に励み海外へと活動の幅を広げる。様々な国で盆栽のデモンストレーション・ワークショップ、さらにパフォーマンスを行い、平成25年度 文化庁文化交流使の拝命を受け、4か月で世界11ヵ国を周り日本固有の文化である盆栽の美意識とその楽しみ方教えるとともに、盆栽を通じて文化交流を行う。今後は、盆栽の可能性を更に見出し、海外ではギャラリー展示と異文化とのコラボレーションにより力をいれて活動。日本では、新しい生活空間に適した盆栽の提示と、若い世代に盆栽を知ってもらう講演など教育に力を入れる。日経ビジネス「次代を創る100人」にも選ばれる。

小さい頃はどんな少年でしたかの問いには、「生まれは徳島県の阿波池田という山奥でホントに悪ガキで、小学生のときなどは、人のものを盗むは、帰ってこないはと、とにかく悪いことばかりしていて、山の中、自然の中で遊んでいました。僕も自然の一部を切り取ったような作品などを作っていますが、実は見た目の問題ではなくて、その時の記憶から醸しだす匂いとか、なつかしさを作品の中に置いていくような表現が僕のパフォーマンスです。大学時代の陸上部の時も、山ばかり走っていて、あの山を見たらあとゴールまで何分とか、山を目印にしてたというか、やはりその時々の山々の景色はすごく心に刻まれています。」

「ある日、京都の伏見稲荷にある東福寺にある、重森三玲が作庭した方丈庭園を見てとても浄化されたのですが、昭和初期にできたはずの庭園が当時のまま残っているのは誰かが管理していると気がつくんです。そこで”継承”という言葉に興味が湧き、僕もそのひとりになりたいと思い、最初は何か日本文化を継承するような仕事を考えていたのですが、ある日盆栽を見た瞬間にコレだ!と思いました。縁あって、最初に紹介していただいたのが加藤蔓青園。面接時に三郎先生がたまたま降りてきて、「盆栽はこれからどんどん世界へ出て行かなければいけない。」とだけ言って出ていかれたのです。80半ばの方がそれを言うんだと、逆におもしろくて”ここで学びたい”と感じ、弟子入りを決め、その日のうちにアパートまで借りるというスピード感でした。あまり迷わずに縁を信じて進むタイプですが、決めたことに対しては責任もってやります。」

 

サムライのいま

 

サイトを3つご紹介します。

Bonsai master – Masashi Hirao

↑平尾 成志氏のプロフィールや最新情報、これまでの活動が写真や動画でご覧いただけます。

平尾 成志氏の盆栽園 ”成勝園” のサイト

↑盆栽を知らない人でも気軽に立ち寄り、くつろぎ、楽しめるよう、こだわりや工夫があちこちにちりばめられていますので、ぜひワークショップへ1度参加してみて下さい!
成勝園ワークショップのお申し込みはこちらからhttp://seishoen.com/workshop/

テレビ東京 BONSAI meet the world

↑今、日本で最も注目される盆栽アーティスト 平尾 成志が盆栽のアートとしての魅力を表現、世界と繋がっていき、盆栽の新たな地平線を拓く姿に密着。国際共同制作作品としてマレーシア・ブータンで先行放送

日本でもこの年末、12月26日(火)~29日(金)の連続4夜、24:00~24:58 BSジャパンで一挙放送!

12月26日(火)24:00-24:58 エピソード1 瀬戸内編:過激和太鼓集団 切腹ピストルズと異種対決

12月27日(水)24:00-24:58 エピソード2 マレーシア編:世界遺産の街で初の盆栽パフォーマンス

12月28日(木)24:00-24:58 エピソード3 瀬戸内編:マレーシアからの弟子入りの青年との師弟関係

12月29日(金)24:30-25:28 エピソード4 中国編:35ヶ国から70人の盆栽職人が集結。しのぎを削る世界盆栽大会

見逃せません!!

盆栽は、ロック

 

現代に、侍のような男性がいるとしたらどんな人だと思いますかの質問には、「自分のつくったものを言葉で説明しない人。僕もいろんな作品をつくっていて、そんなに大きな失敗はないのですが、あなたの作品でここはだめだよねとか言われた時に、いろいろ説明をしたり、いいわけをしない。そういう男って潔くてかっこいいなと思います。自分の行動とか作品に自信と責任をもっている。それぐらい腹をくくっていないと侍と言えないと思いますね。」

あなたにとってネクタイとはの問いには、「気を引き締めるものです。文化交流使の時ぐらいから取材とかメディアに出る機会や講演も増えてきました。そういう時にネクタイが必要な場面もあるのですが、最後ネクタイを締めた瞬間に、気を引き締めているような感覚になり、スイッチが入るんです。逆にネクタイの結びがきまらないときとか不安になりますね。そこが1発で決まったときなどは自信がつきます。スーツを着た自分に対してもう1回、気を引き締めるもの、です。」

平尾氏にとって盆栽とは、とも聞いて見ますと、「僕にとっての盆栽って、ロックです。ロックンロールってジャンルが広いんですけど、盆栽も広い。海外へ行っていろいろ見ると、様々な盆栽があります。ロックもその時代でどんどん変わるし、言ったもん勝ちなところもある。やはり生き様を出すというところが似てますね。僕の生き様でなく、木の生き様を見せて出していくんです。」

好みの女性はの問いには、しばらく考えたあと、「盆栽のような人」と言う。氏の盆栽は少しフェミニンなものも多く、「実際盆栽に向かってこんな女とつきあいたいなと話しかけたりすることもあります。なかなかこっちを向いてくれない、でも妖艶さがあって不思議な感じがするような。なかなかいませんが。」と。

師の故加藤三郎曰く、”盆栽は生きた芸術”。しかしもっともその”盆栽”であると思うのは、平尾成志氏ご本人ではないだろうか。生命力に溢れ自らの感覚を信頼し、厳しい自然や逆風の中でも枝葉を伸ばし、ときに紅葉し、ときに葉を落とし、また実をつけ、ときにはジンやシャリ(幹や枝が壊死し白化した部分)ができるほどの打撃を受けながらもその部分ですら美と携えながらこの時代を伸びやかに生きる。世界との距離が近くなったこの時代に、生まれ育った山中、生家の木材屋という環境、大学の陸上部時代の京都の山々の原風景を携え、盆栽界にしがらみもなく、突如その世界に現れた風雲児。面接時にすでに「海外へ盆栽を」と、カリスマから言われ、そのまま天性の感覚と行動力とで自在に、でも的確に日本の盆栽文化を海外へ伝えている。去年は自身の盆栽園も開園し、経営に携わりながら弟子も受け入れている、そんな彼の生き様こそが、厳しい環境にぶつかりながらも、とてつもない景色を自ら創造する美しく伸びやかな生きた芸術、”盆栽”であると確信します。我が亡き最愛の父の趣味でもあり、日本的美にも植物にも目がない私が今回”盆栽”に惚れ込まないわけがないのですが、これからの成長を期待し見守りながら、最も愛でていくのが楽しみな”盆栽”は、平尾成志氏自身、です。

 

女「これから先、何がしたいですか?」

侍「いっぱいあります。まずは東京オリンピックの2020年は1つの節目です。できたら開会式で盆栽のパフォーマンスがやれたらなと思いますが、それができなくても何らかの形で関われたらと思っています。ものすごい加速で世の中が変わっていくので、盆栽の認識も次のステージへステップアップして欲しいですし、今の海外での僕のパフォーマンスを逆輸入して、またこれを海外へもっていきたいと思っています。例えば別ジャンルとのコラボレーションで、ミラコレ、パリコレでとか、ミラノサローネでとか、ジャパンフェスティバルとかで、進化した僕のパフォーマンスを発信して、盆栽が盛り上がるような活動ができればと思います。今のこのパフォーマンスはとても体力が必要であり疲労感もあって、40歳ぐらいまでかなとも思いますし、たぶん周りの人が飽きる前に、先に自分が飽きると思います。これからの新しい方法を考えながら新しい境地が見えてくるのではと、そのあたりは貪欲にいきたいですね。将来は動的なものだけでなく静的なものも見せていきたい。今は時間もなく、それが何なのかはまだ若くて見えていませんが、いろんな所へ出向いたり、人生勉強も必要で、それらから感じ取ったり見えてきたもので、新たな静の部分を表現できるのではないのでしょうか。今は勢いでいっているのもわかっていますが、止まってはだめだと思っています。」

女「余命があと3日だとしたら、何をしますか?」の質問には、

侍「盆栽をつくります。3日間飲まず食わずで、ずっと盆栽をつくると思います。盆栽をやっていたからいろんな人方々とめぐり会えたし、盆栽から、いろんなことを学ばせてもらえました。僕がパフォーマンスで見せているのはだたの入り口です。静かにワイヤーまいたり剪定したりと、最後まで盆栽をつくりたい。」

メッセージ編

 

世界へ向けてのメッセージをいただきました。

盆栽かっこええで

「”盆栽かっこええで、1回やってみ。”その一言です。自分が今36歳で30年後はわからない。でも業界や組織の中にいて周りと同じこと、当たり前のことをしていたら何かを変えたり、成し遂げることなど無理です。自分がその盆栽をかっこいいと信じきってやる。実際、本当にそう思っていますし、そのかっこいい盆栽をさらにかっこよく見せようと思ったのがはじまりであり、今の僕のパフォーマンスです。」

最後に、入魂のイベントパフォーマンスのリハーサル風景を動画にてお届けします。

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